【第九話】織り

【第九話】織り

こんにちは“5大陸オーガニックデニム”を企画開発したPLANNERの木村です。

前回まで染めについて説明させて頂きました。

今回は「織り」について説明させて頂きます。

 

「織り」とは、

糸を織機にかけて織った布の総称をいいます。

 

織物は織機を使って制作される布で、経糸を張りその間に緯糸を通すwので、通し方(織り方)と糸の素材や太さ等によって布地の種類が変わります。

一般的な織り方の種類は「平織り」「綾織(斜文織)」「繻子織」の3種類があり

「三原組織」と呼びます。

デニムの織り方は「綾織」に属し一般的に「3/1綾織(4つ綾)」といいい、経糸が3本上で緯糸1本が下になります。

綾織りは「斜文織」とも呼ばれ生地の表面に「/」のように斜めの畝が見えるのが特徴で、表から見て右上上がり「/」が「右綾」「正斜文」、

左上上がり「\」が「左綾」「逆斜文」といいます。

 

デニムの表面は4分の3が経糸のインディゴとなり裏側はその逆の4分の3が生成りの緯糸になります。

 

デニム表面の色はインディゴ色(紺色)ですが、その表面を良く見ると白っぽい点々がインディゴの間から少し見えます。

それが緯糸(横糸)の生成りの色です。

逆に裏側を見るとインディゴの色が少なく緯糸(横糸)の生成りの色が目立ちます。

これがデニムの綾織りの組織の特徴です。

 

機織りの歴史は古く、織物は衣服以外にも寝具、敷物、家具等様々な日用品などに幅広く使われていて生活していく中で不可欠な物でした。

 

織物業の文明や地域、時代によってかなり幅がありますが、産業革命以前には自家用の布は各家庭で織られる事が多く、専門職人による高品質な織物は富裕層のみが使用していました。

18世紀以降、イギリス、フランスを中心に織物産業の機械化が進み、産業革命の一原動力となりました。

それに伴い紡績技術の発展、綿花栽培の集約化、そして19世紀に入って

「力織機」が開発され、安定した品質の織物が生産されるようになりました。

今回“5大陸オーガニックデニム”は岡山県井原市の織物会社シンヤ株式会社さんにお願いしました。

初めてクラボウさんとお伺いした時、工場外から

「ガッシャンガッシャンガッシャンガッシャン」

と力強い機械音が響いていました。

 

これが力織機か!!

といまだにその時の興奮を覚えています。

 

この力織機は昭和初期の機械で現在生産してなく、職人が壊れたら修理したり部品を交換したり長く使っているそうです。

力織機は現在主流の革新織機(電子制御された織機)と違いゆっくりゆっくりとしか織る事が出来ません。

また力織機の幅が27インチ前後の狭い幅ですが、革新織機の幅は44インチ、48インチと広い幅になります。

革新織機はジーンズファッションの需要拡大に伴い、デニム生地生産も増産を求められるようになり開発された織機で、力織機のようにシャットルを走らせるのではなく、小型の金属パーツを走らせるグリッパー式や空気や水の噴射力を利用したジェット式などがあります。

革新織機は開発当時に旧式織機との区別用語として生まれたとされています。

 

革新織機と比べると力織機はゆっくりと織る為、糸切れや織傷が出やすい機械です。

何故、革新織機と比べるとB品が出易く、日に数十メートルしか織れない古い織機を使うか?

職人が日々調整しながらゆっくりゆっくりと織っていく為、糸と糸の間に空気を含み手織りのような風合い豊かな生地が出来上がります。

 

高速で動く革新織機では出せない凹凸の有る昔ながらの風合い豊かなデニム

 

80周年記念モデルは現代の最新技術に反し

昔ながらの機械を使い

熟練した職人の技術とプライドが詰まった特別な生地に仕上がりました。

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