【第十二話】シルエットについて

【第十二話】シルエットについて

こんにちは“5大陸オーガニックデニム”を企画したPLANNERの木村です。

前回まで“5大陸オーガニックデニム”の生地が出来るまでの経緯や説明をさせて頂きました。今回は80周年記念限定モデル“MODEL 80TH XXXX-EXTRA”の商品が出来るまでのお話しをさせて頂きます。

 

一般的に「シルエット」と聞いて思いつくのはストレートやスリムといったパンツの形のアウトラインの事を言います。

 

元々は18世紀頃のフランス語「シルエット」「Silhouette」が語源となっています。

黒い紙を切り取って人物の横顔を表現した切絵に対して用いられた言葉で、そこから明るい背景に対して人物が黒く塗り潰されて見えるような光景や物の形、輪郭を言い表す語として用いられるようになりました。

 

「シルエット」の語はフランス王ルイ15世の治世下で財務大臣を務めた

「エティエンヌ・ドシルエット」に由来されます。

ここでもフランスが出てきますね。

 

服飾、ファッション用語では服そのものの形やデザイン、着用した時の輪郭の事を言います。

またファッションデザインの重要な要素で、その時代の流行によって形が大きく左右されます

ジーンズを選ぶ時にもシルエットの種類が重要視されますね。

代表的なパンツのシルエットは以下の物があります。

 

■ストレート

 全てのパンツの基本シルエットで股下から下にかけて直線的なデザイン

150年前からあるジーンズの原型

■スリム

 全体的に細身で裾に向かって極端にテーパードしていくタイプ

■スキニー

 スリムより細く、肌にピッタリと密着するシルエット

■テーパード

 太ももから膝まではややゆとりがあり、膝から裾に掛けて少しずつ細くなる

 

現在パンツのシルエットの主流は大きく分けてこの4つですが、他にもブーツカットや

ベルボトム、ジョガーパンツなど様々なタイプが有ります。

 

流行りの音楽や映画、TVなどで俳優や女優、歌手やスポーツ選手など、憧れの人達が

メディアなどで露出する事でトレンドが生れて行きます。

(企業やメーカーが流行色、トレンドをコレクションなどで発信する事も有ります。)

 

代表的な歴史のファッショントレンド、シルエットをまとめてみました。

 

1950年代:サブリナパンツ 細身の七分-八分丈パンツ  

      「オードリー・ヘップバーン」主演の映画「麗しのサブリナ」でオードリー

      が身に着けていたことからこの名で呼ばれ大流行した。

                             

1960年代:スリムパンツ 

      ビートルズの影響で流行ったモッズファッションで特徴は細身のスーツ、股上の浅いスリムなパンツ、ミリタリーパーカーなど

      1960年代はその他にも「VAN」ブランドが提案したアイビー・ルックは若者の間でブームになりアイビーファッションと呼ばれた。

 

1970年代:ベルボトム

      裾が大きく広がったパンツのデザイン。股上は身体にフィットし膝~裾に向かって広がっているもの。金管楽器のベルの形に似ていることからベルボトムと呼ばれている。日本では「パンタロン」や「ラッパズボン」とも呼ばれていました。長いブーツを下に履ける事から「ブーツカット」という呼び方もこの時に一般的となりました。

      アメリカのサブカルチャー文化が日本に到来しテニスやサーフィンなどアメリカンスポーツが日本で人気になりました。その影響もあり日本ではジーンズを含めアメリカンカジュアルが浸透して行きました。

 

1980年代:渋カジ

      日本経済はバブル期により景気が上昇し若い世代から社会人まで「DCブランド」ファッションに身を包み、お金をかけたファッションを楽しむ時期でした。そんな中、豪華に飾り立てたファッションとは異なった「渋カジ」ファッションが流行しました。

      「渋カジ」は「渋谷カジュアル」の略称で都内の若い世代により受け入れられました。Tシャツやポロシャツ、ジーンズにチノパンといったカジュアルなファッションで紺ブレやローファーに合わすシンプルなスタイルです。

      またこの時代は「ケミカルウォッシュ」という加工ジーンズも流行しました。

 

1990年代:裏原系ファッション

      ストリート系の一派でもともと90年代後半から裏原宿に始まりました。若い世代に絶大な人気を誇り現在でもその人気は続いています。

 

2000年代:ローライズジーンズ

      欧米の歌手や女優のファッションとして流行し国内でも流行した。股上が極端に浅く、足長効果がある。

 

2006年:スキニージーンズ

     細身で股上が浅く、ワンウォッシュや生といった濃い色の綺麗目なスタイルが流行した。

 

2010年:クロップドパンツ

     通常より丈が短く、切り落とすという意味でスソを切ったような七分~八分丈くらいのパンツのものを指す。ルーズなウエストラインと絞り気味の裾ラインが特徴。

 

2011年:サルエルパンツ

     股下にゆとりを持たせたデザインで、元々は民族衣装が原点で個性的なシルエットが特徴。

2016年:ジョガーパンツ

     裾部分がゴムやリブで絞ってあり、足元にいくにつれて細くなりテーパードしている。歴史としては1970年代のジョギングブームになりよりファッショナブルに変化したジョギングパンツがジョガーパンツの原型。

 

その他も沢山有りますが代表的なものを上げて見ました。

ファッションの流行は時代によって変わって行きますが、今見れば新鮮な物もあれば時代

を感じるような不自然なシルエットも有ります。

 

今回80周年記念限定モデル“MODEL 80TH XXXX-EXTRA”のシルエットは特に流行

は考えていません。ジーンズの定番は「ストレート」です。

「ストレート」と言っても太めや細め、裾に向かって少しテーパード掛かった

「ストレート」など沢山有ります。

私は太めが好きです。

最近のトレンドでは細いタイプが流行りですが、敢えて「ストレート」にしました。

ビッグジョンの歴史も加味しながら、長く履いて頂きたいという想いと、

15.8OZ」の素材感を考えるとBASICな「ストレート」しか思い浮かばなかった。

 

XX1002少し太めのREGULAR STRAIGHTのボタンフライタイプ

XX1004膝から少しテーパード掛かった少し細身のSLIMSTRAIGHTのファスナータイプ

 

ファスナータイプを作ったのはビッグジョンファンの年配の方に履いて頂きたかったから

作りました。

以前ビッグジョン創業80周年モデルを開発する際、ビッグジョンファンの70代喫茶店マ

スターを訪ねて貴重な昔のジーンズを見せて頂き色々お話しを聞かせて頂きました。

 

「この色落ち凄いでしょう!!」と大切に保管してあったジーンズをショーケースから取

り出しました。

マスターが長年履き込んだ初代EXTRAのジーンズ

趣味の旧車に乗る時に履く特別な想いが詰まったジーンズ

その時言われた「やっぱりジーンズはファスナーじゃないと」という言葉が大きかった。

 

また生機デニム(縮み防止、ネジレ防止されてない織り上がったままの生地)は縮みが大

きく、ファスナーが付く前立て部分が波を打つので、どのメーカーも敬遠します。

プロトサンプルを何度も改良しながら、洗濯試験を繰り返してやっとファスナータイプを

完成させました。

 

MODEL 80TH XXXX-EXTRA”の定番シルエットを実感して見て下さい。

 

 

NEXT【パタンナーとのやり取り】

ブログに戻る