アメリカ・ニューメキシコ州。見渡す限りに広がる綿花畑。その一角に佇む一人の女性、サリーフォックス女史。オーガニックコットンのパイオニアとして知られる彼女が手がける「茶綿」は、現代のファッション業界ではほとんど見ることのない“色を持つ綿”だ。
白い綿が主流になる以前、綿はナチュラルなブラウンやグリーンといった自然の色を纏っていた。それらをあえて染めることなく、そのままの色で糸へ、そして生地へと昇華させた素材。BIG JOHNの新作「EXTRA CHINOS」は、まさにこの“綿本来の色”を活かし、妥協なきクラフトマンシップとともに誕生した特別な一本だ。

「育てるチノ」のために、原点へと立ち返る
この素材に使われているのは、サリーフォックス女史が丹精込めて育て上げた茶綿。そして、彼女のオーガニック農法への強い信念を支えるのが、大正紡績株式会社。彼らは、生産者に対して「できた分はすべて引き取る」という約束のもと、長年この希少な茶綿の生産を支え続けてきた。
昨年12月、大正紡績の水野氏は実際にサリー女史の綿花畑を訪問。その場で感じたのは、自然と共に生きるという厳しさと、サリー女史が茶綿にかける執念にも似た情熱だったという。
「収穫年ごとに色も風合いも変わる。その不均一さこそが“本物”である証。だからこそ、量産ではないものづくりに意味がある」
――これは、BIG JOHNが古くから貫いてきた哲学でもある。

1953年製精紡機 × 昭和初期の力織機= 時間を纏う生地
サリーフォックスの茶綿を糸に変える工程では、日本最古級の精紡機(1953年製)を使用。高速大量生産とは無縁の、ゆっくりと紡がれる糸は、まるで手紡ぎのように自然なムラと柔らかさを宿す。
織布においても、昭和初期の旧式力織機を使用。シャトルが左右に行き来することで生まれるわずかなテンションの差が、独特の凹凸感を生み出し、手仕事の温もりを感じさせる風合いを作り上げている。

一つとして同じものはない、一期一会の経年変化
染色をしていない素材だからこそ、履き込むほどに変化する表情は唯一無二。日光、水分、そして時間。使う人それぞれの暮らしの中で少しずつ色づいていく様は、まるでヌメ革のような味わい深いエイジングを楽しめる。
この茶綿チノは、ただの衣服ではない。綿のルーツ、機械のルーツ、そして“人の想い”のルーツを繋ぎ、時を重ねて完成したプロダクトなのだ。
そして「EXTRA CHINOS」は誕生した。
2023年、日本の熟練職人とアメリカのオーガニック農家、そしてサリーフォックス女史の長年の研究と挑戦が結晶となり、「EXTRA CHINOS」が完成した。

このパンツには、ファッションの未来に対するひとつの答えが込められている。「環境配慮」や「サステナブル」という言葉が一過性のトレンドで終わらぬよう、ものづくりの現場から真正面で向き合う。その覚悟を、ぜひあなたの肌で感じて欲しい。
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